基礎研究医プログラムのご案内
本学の基礎研究医プログラムは、大学病院で初期研修をしながら同時に大学院に入り、基礎医学者としてのトレーニングをこなすコースです。通常は初期研修2年、大学院4年と合わせて6年かかるところを、学部卒からわずか4年で修了することができるコースです。
しかしながら研修医生活をこなしながら大学院生として研究するというのは並大抵のバイタリティではできません。相当の覚悟がなければどっちも中途半端になるでしょう。学部生の頃から基礎医学研究者になるために相応の努力を継続してきており、かつ研修医時代を乗り切る覚悟と体力があり、そしてその先も基礎医学研究を通じて社会に貢献しようという熱意がある場合のみ受け入れます。
私の本当のオススメは、2年間は大学病院 or 市中病院で研修をしこの先40年以上にわたって医学研究者として活躍する下地となる幅広い現場の医療を体得し、一方で臨床研修と並行して当分野のオンライン研究制度 (+ 東京近郊で研修をしている場合は、診療のない時間帯に当研究室に出入りすることも可能です) により研究にも従事して、そしてその上で清水研の正規博士課程の4年猛特訓コースに進むルートです。その方が、卒業後に卓越した基礎医学研究者として活躍できる可能性が基礎研究医プログラムで最短で博士号をとるよりも飛躍的に高まります。一見遠回りのようですが、大学院卒業後の生産性を考えればそれが一番合理的な選択です。
といいますのも、「基礎研究」の世界には医師免許の有無は関係ありません (というかむしろ持っている方はずっと少ないです)。これはつまり医師ではなく理工系など4年制の学科の方々がライバルということになります。学部の4年生では卒業研究があり、またその後は修士課程があります。博士課程に入学するまでにライバルたちは少なくとも3年はフルタイムでの研究の訓練を受けた上で、その上で博士課程でも数年間研究に取り組むわけです。一方で研究医プログラムでは、学部時代にフルタイムで研究をしていたわけでもなく、研修医時代もフルタイムではないので、フルタイムとしては実質2年半で卒業になります。もちろん博士号はとれると思いますが、学位をとる時点でそういったライバルに研究力 (実績も含む) の点でも追いついていなければ研究者としての次のポストは残念ながら見つからないでしょう。ライバルは6年間フルタイム (学部最終学年1年間+ 修士2年間 + 博士3年間) で修行しているのに、基礎研究医プログラムの実質2年半 (博士4年から研修期間1年半を引いたもの) でライバル相当の研究実績が出せるのかという実にシンプルな問いです。私自身が研修医だった頃からさまざまな大学で名称は違えど類似の制度はありましたが、そういった研修医と博士課程を並行してどちらも修了する制度で趣旨通り研究者として今も活躍している方はかなり少数派です。あくまで私の観測範囲ですが、医師免許をとった後にすぐかあるいは研修後かはさておき4年間フルの博士課程で修練した方の方がずっと多くその後も研究で活躍していらっしゃいます。このような背景もあり、制度の趣旨通り本当に「基礎研究医」になりたいのであれば、医学科6年間には理工系と異なりフルタイムでの研究トレーニングが圧倒的に不足しているからこそ、大学院ではみっちり研究者としての素養を身につけなければならないと私は考えています。
しかし、それでももし基礎研究医プログラムをご希望ということであれば、次のような方であれば受け入れる用意はあります。
- すでに筆頭著者として広義の基礎医学系で査読付き英語原著論文を1本以上発表している or 第3著者以内で2本以上の論文を発表している方 (現在投稿中も可)、または清水研の研究実践プログラムや研究者養成コース在籍中の方 (いずれも博士課程における研究歴1年相当と読み替えます)。特例として、数理やデータサイエンスに関する実績がある方 (Kaggle銀メダル以上など) も考慮します。
- 初期研修医生活の最初の1年半は、診療を学びつつ、平日は1日2時間平均、土曜日は1日5時間平均、合わせて週15時間相当の研究活動を継続できる方 (1年半の間に1125時間になりますが、これは大学院における研究歴半年強と読み替えます)。
- 初期研修医の2年目の後期、および3年目・4年目は当研究室で研究に専念できる方 (週50時間 x 50週平均、これは大学院における研究歴2半年と読み替えます。上記合わせて研究歴1年 + 半年 + 2年半 = 4年になります)。
清水自身は初期研修医2年、その後5年の基礎医学研究を経て学位をいただいたので、学部卒業から学位取得まで7年かかっていますが、それを4年で駆け抜けようというわけですので相応の知力・体力・覚悟が必要になること、最後にもう一度申し添えます。
大学院見学と病院の採用試験、大学院の入学試験について
応募に先立って清水研の面談および研究室見学をしてください。やり方はこちらのページです。
基礎研究医プログラムをご希望の方は、研究室見学と合わせて、広い意味での基礎医学に関するこれまでの取り組み (研究内容やもしあればその成果など) をミニセミナーの形で当研究室メンバーにプレゼンしていただき、discussionをさせていただきます。
当研究室に出願したいということであれば、それに先立って東京科学大学病院の研修医としての試験がございます。1次選考が書類審査、その後に2次選考 (6年生として兼ね備えているべき医学知識に関する筆記試験および面接選考) が行われます。
この病院での研修医採用試験に合格した方は、9月末に実施される本学 医歯学専攻博士課程の大学院入試を受けていただき、合格すれば内定となります。
詳しくは本学の基礎研究医プログラムのページもご覧ください。
