清水研ではバイオとデータサイエンスの両方に精通する次世代型の研究者養成を掲げています。このどちらかのプロはたくさんいますが、両者とも専門レベルの知識技術を持つ人は極めて稀であり、キャリアを広げる最良の選択肢かと思います。賢明な読者はすでにお分かりの通り、この両者に精通するのは並大抵の努力ではできません。そこで清水研では、大学院1-2年目 (特に1年目) に集中的に勉強する機会を提供します。

ゼミの基本

学部生時代は誰かにお膳立てしてもらった道を進んできた方も中にはいるかもしれませんが、大学院はそういうところではありません。学部生のように先生に授業をしてもらうという方式ではなく、大学院生が自ら人に教えることで大きな学びとする、というのがゼミの基本です。講義は5%、読書は10%しか身につかないが、人と議論することで50%、人に教えることで90%を身につけることができる、というラーニングピラミッドの話は有名ですね。したがって当研究室の教員は必要に応じて補足したり理解不足の点を指摘することはあっても、原則的にはオブザーバーの位置づけです。ゼミの主役は大学院生で、大学院生の能動的学習 (アクティブ・ラーニング) がゼミの大原則です。指定された範囲のテキストや論文を読み、ゼミにおいて参加大学院生が他の大学院生 (+教員) に図や式を説明して議論します。パワポ資料を作ってもいいですし、ホワイトボードも用意しているので書きながら説明してもらっても構いません。

オンライン事前勉強会

入学前に、日程調整の上で全6回ほどみんな (同期の入学者+清水) でオンラインで集まり、日本語で書かれたデータサイエンスの書籍を教材にした勉強会を行っています。入学時点までにさまざまなデータサイエンストピックスに一定の理解が得られます。なお、6回のうち初回は顔合わせなのでメンバー限定ですが、残り5回は勉強会なので少し広めの範囲にも公開しています。こちらのページの「事前勉強会入門編」をご覧ください。また、この勉強会を終えた先輩方の声はこちらです。

集中勉強会 (1年次4-6月)

清水研の勉強会はCSとMLという2系統があるのですが、最初の3ヶ月はCS, MLの前段階として基礎知識を徹底的に学んでいただきます。

1年次4月

生命科学系出身ではない方に生命科学の基礎知識をゼミ形式で伝授します。また医学系出身ではない方に解剖学・生理学等の医学の基礎知識をゼミ形式で伝授します。

1年次5-6月

バイオ研究・バイオテクノロジー・バイオ実験について2冊の日本語の本を輪読しながら学びます。

事前勉強会 (概論編・実践編)

1年次の4-6月限定で、バイオインフォマティクスに関する論文を集中的に学びます。大量の論文のシャワーを浴びることで、3ヶ月後には大部分のバイオメディカルデータサイエンス論文については十分に読めるようになります。

pre-ML-1 (1年次4-10月)

4-6月にかけては清水が作成した全30回の実践的な機械学習・深層学習の実装を学びます。難易度は赤Pythonの数段上の内容です。

7月には理工系出身者なら身につけている数学の素養を1ヶ月で速習します。

9月, 10月は数理統計学・統計学的機械学習を叩き込みます。

ML-1 (1年次11月-2年次6月)

MLはmachine learningを意味します。1年次ではML-1としてadvancedな内容を系統的に学びます。

米国MIT (マサチューセッツ工科大学) 人工知能センターのMurphy先生が書いた機械学習の専門書を輪読します。このレベルの勉強会は日本には数えるほどしかありません (医療・生命科学系の研究室では皆無です)。

ML-2

ML-2は2年次の希望者がうけます。AIの国際的なトップカンファレンスで発表されたばかりの論文を一緒に輪読する形式の勉強会です。

CS (Convergence Science )-1

⾰新的イノベーションは、単⼀の学問領域で起こることは極めて稀です。近年、従来は互いに接点のない異なる分野や技術が、特定の⽬的を達成するために融合・統合しながら新しい分野や技術を確⽴させていく、科学研究の新モデル「コンバージェンス(収斂)」が注⽬されています。

清水研では、幅広いトピックスを学んでいただきます。

  • 1年次7月: 論文図表の読み方
  • 1年次7月: システム生物学2
  • 1年次8月: 合成生物学
  • 1年次9月, 10月: 発展的な医学統計学
  • 1年次11-12月: システム生物学
  • 1年次1月: 制御工学
  • 1年次2-3月: 数理生物学

CS-2

CS-2は2年次の希望者がうけます。創薬情報科学をする上で必要なトピックスを重点的に学びます。

  • 2年次5-6月: 生物物理学
  • 2年次7-9月: 量子化学とケモインフォマティクス
  • 2年次10-12月: 計算化学
  • 2年次1-3月: 量子情報科学

Journal Club

清水研における論文抄読会です。普通のラボでは担当者がFigureを説明しますが、清水研においてはFigureを説明するのは担当者ではなく大学院生の仕事です。つまり毎回論文を読み込み、Figureを正確に理解しなければなりません。

もちろん特に1年生には難しいこともあるでしょう。そのため、前の週のうちにpre-JCという1年次が集まってお互いに教え合い、そこに経験豊富な先輩がtutorとして加わることで、1年目から抄読会に主体的に取り組めるようにしています。

Journal Clubは2023年4月より始動し、過去の概要はこちらのページで公開しています。

Technology Seminar

最先端のテクノロジー (実験のテクノロジーでも、コンピューター解析手法でも) を学ぶことができる隔週の勉強会です。毎回テーマが変わり、関連する事項を網羅的に学習します。

Technology Seminarは2023年4月より始動し、過去の概要はこちらのページで公開しています。

English Conference

半年に1回のペースで開催される英語によるカンファレンスで、自分の研究を15分程度で発表しフロアと英語で討論する国際学会形式の機会です。卒業後に国際的に活躍するための素地をつくることができます。