AIシステム医科学分野ではMD-PhDコース希望者を募集しています

東京科学大 (旧・医科歯科)の医学部医学科に通う学生さんは、MD-PhDコース (医学研究者早期育成コース) で当研究室に所属することもできます。MD-PhDコースは医学部に在籍しながら医学博士が取得できるコースであり、募集要項は大学のHPをご確認ください。

※ DDS-PhDコース (歯学研究者早期育成コース) 希望者は当分野は受け入れできません。

募集要項のうち、特に重要事項のみ次に列挙します。

  • 募集対象: 東京科学大学 (旧 医科歯科) 医学部医学科4年生または5年生
  • 博士課程入学時期: 2025年4月 (清水研3期生)
  • 募集定員: 若干名
  • 出願期間の目安 (例年のスケジュール通りだとした場合の目安です):2024 年11 月18 日(月)から 2024 年11 月22 日(金)
  • 給付型奨学金:本学規定により支給 (月8万円 x 3年、なお最新情報は必ず自身で確認)

MD-PhDコース希望者には4月の入学前にオンラインの自習教材を提供する他、4月入学の同期の学生たちと一緒にオンラインの勉強会を行います。オンライン勉強会は必ずしも全て参加できなくても構いませんが、可能な限りご参加ください。

MD-PhDコースで得られること

通常の大学院博士課程に比べ、より若いうちに専門的な研究トレーニングを行うことで業績が積み上げやすくなります。私たちにとっても、柔軟な発想ができるMD-PhDコースの学生さんを歓迎しています。

私たちは「科学者にとって最高のパラダイスであり次世代を担う研究者のインキュベーターをつくること」を掲げており、次のような38のbenefitを大学院生に提供しています。

  1. 机・椅子・ロッカー
  2. デスクトップコンピューターおよび高速Wifi環境
  3. ラボ共通図書 (関連書300冊)
  4. スーパーコンピューターSHIROKANE最上級モード(D9モード) およびデータストレージサーバーSHIRAUMEアクセス権 (家からでも利用可)
  5. MATLAB, Mathematica, Illustrator, Gaussianといった研究を行う上で不可欠の有償ソフトウェア
  6. 配属前に学習するオンライン予習教材 (200時間分の演習教材)
  7. 実験や情報解析に関わる膨大なオンライン教材・リソース (1万ページ以上、在宅で勉強可能)
  8. (希望者のみ) 一通りの分子細胞生物学実験環境および共用の専門実験機器
  9. (希望者のみ) 3Dプリンターを含む先端技術へのアクセスと企業との連携の場
  10. 生命科学や医学を未履修者を対象にした集中勉強会 (2ヶ月)
  11. ライフサイエンス系学術論文に頻用される図表の読み方を集中的に学ぶ勉強会 (1ヶ月)
  12. 米国マサチューセッツ工科大 (MIT) ・人工知能研究所 (CSAIL) で使われているのと同じ教材を使ったML特論 (2年コース)
  13. システム生物学, 数理生物学, 合成生物学, 量子情報科学等の多様な周辺領域を学ぶCS (convergence science) 特論 (2年コース)
  14. アットホームなラボ環境、ラボメンバーおよびM&Dデータ科学センター
  15. JR御茶ノ水駅から徒歩3分、東京のど真ん中にあるので各種学びの機会にも参加しやすい環境
  16. 国内でもトップクラスの優秀な同期・先輩後輩と切磋琢磨する場
  17. バイオメディカルデータサイエンスとその関連領域における人脈ネットワーク (清水研は30年続くので今後同門の方がたくさん輩出されるでしょう)
  18. ラボメンバーからの建設的な批判によるプロジェクトの軌道修正
  19. ほぼ毎週ある研究に関する個別ミーティングを通じた論理的思考回路の構築
  20. 多様な研究プロジェクトを見聞きする中で広範な科学領域に対する理解の提供
  21. 主体的に貪欲に学び続ける習慣と、それを人にシェアすることで自らのさらなる学びとする機会の提供
  22. 教員による補佐のもと、博士課程学生は修士の学生を、修士課程学生は学部学生を指導するという、高等教育の経験
  23. マイプロジェクトとして自らの興味に応じてプロジェクトを0から立ち上げる経験
  24. 最先端の学術論文やテクノロジーを毎週学ぶ機会
  25. 英語運用能力の向上
  26. 発表プレゼンや書類等の手直しを通じた、研究者として生き残るための「聴衆への上手な見せ方」指南
  27. 倍率5倍, 10倍, 20倍の競争率に勝ち採択された過去の学振DCやグラントの申請書をシェアすることで、近い将来不可欠になる採択される申請書を書く秘訣を学ぶ機会の提供
  28. 最初は促されつつも、いずれは自主的に全国規模のセミナー等でみなの前で発言できるだけのセンスと度胸の養成
  29. 2年に1本以上の頻度で筆頭著者として英語学術論文を国際誌に発表できる可能性
  30. 書籍、各種記事等を執筆する機会
  31. (研究成果に特許性がある場合は) 特許出願経験 + 特許収入
  32. (研究成果に社会的インパクトがある場合は) プレスリリース、記者会見経験
  33. 少なくとも2ヶ月に1回の清水との面談・雑談により研究以外の困っていることを自由に相談できる環境
  34. (希望者のみ) 週に1回昼食をともにしながらデータ科学関連の他分野の先生、学生との交流
  35. (希望者のみ) 年に1回以上の国内学会発表機会の提供
  36. (希望者のみ, 博士課程4年目) TA/RA雇用による生活費サポート
  37. (希望者のみ) 各種奨学金申請書サポート
  38. (希望者のみ) 本学が実施する「データサイエンス人材育成プログラム」無料受講 (本来は受講料25万円)

正直なところ、大学院生がここまでたくさんのことを学べるラボは他にないと自負しています。詳細は教育のページもご覧ください。

【先輩の声】清水研でのMD-PhDコースを決断した理由と博士課程の抱負

伊東巧と申します。本学医学科を5年生まで修了した後休学し、2025年4月よりMD-PhDコースにて博士課程に進学しました。3年間で博士号の取得を目指し、その後学部に復学する予定となっております。ここでは、私がMD-PhDコース及び清水研究室 (清水研) に進むことを決意した理由、博士課程への抱負について紹介させていただきます。

MD-PhDコースは、医師免許の取得が遅れるという点や、博士課程を卒業し研究者としてステップアップしていくタイミングで学部 (初期研修) を行う必要があるという点で万人に勧められるプログラムではないと考えます。一方で、将来のキャリアを確定させる前の若い段階で研究にフルコミットすることができ、基礎研究の世界を深く知ることができることは大きな利点であると考えます。私は医学科3年生の夏から清水研で活動させていただいております。その中では、研究がうまくいかないことや医学科のカリキュラムとの両立が大変なことで辛い思いをすることが何度もありました。しかしそれ以上に、研究の楽しさや生命科学や基礎医学とデータサイエンス・AIの融合領域の面白さを感じました。そして、もっとたくさん研究し、様々な分野を学びたいと考えるようになりました。また、自分は臨床診療をする職業としての医師にも強いやりがいを見出しています。5年次の臨床実習を通じてその思いがますます深まると同時に、臨床の現場を知る医師が基礎研究をする必要性を感じました。一方で、これまでの経験を通じて専門的な臨床と基礎研究はどちらも高いレベルの仕事をするには並々ならぬ修練を要すると理解しました。厳しい現実を目の当たりにしてもなお、一流の臨床と研究を両立することを諦めることができませんでした。特に、興味を持つ生物情報科学を活用して上記の両立を実現するためには、相当の覚悟を持って基礎研究に打ち込み、生命科学の広汎な領域に触れることが不可欠であると考え、MD-PhDコースへの進学を決めました。

清水研は本気で研究に打ち込みたい人、研究者を目指す人にとってとても良い環境であると考え進学しました。本学の中に限っても数多くの素晴らしい基礎研究室があります。学部時代にお世話になっていた清水研に進学することは、見方によっては別の師匠に師事する機会や新しい環境に飛び込むチャンスを失うことでもあります。それでもなお清水研を選んだ理由は、主に5つあります。1つ目はPIである清水先生が自分の当初の覚悟に見合う正しい方向の努力をencourageしてくださる方であるからです。医学生の頃から厳しい環境に自ら飛び込み続けている清水先生に指導いただけることは、今後も自らの成長に非常に重要であると感じています。2つ目は (ホームページからもわかるように) 時に厳しい清水研の門を叩いてきた仲間たちは大学院時代に共に切磋琢磨する上で大きな存在になると考えたことです。実際に、学部生の頃から大学院の1期生、2期生と共に活動していて、彼らの存在が自分の研究活動にとても良い影響をもたらしてくださったと実感しています。3つ目は、自ら研究テーマを考えて提案することが推奨されていることです。設定された課題を解決する能力が重要なのは言うまでもないですが、課題を設定する能力も同様に重要であり、この能力をより養うことができるのは清水研であると考えました。4つ目は、清水研は生命科学や基礎医学とデータサイエンス・AIの融合領域の様々な研究を行っていることです。他の人がやっている研究の話を聞くことで様々な技術や分野に対する造詣が深まります。5つ目はコンピューターを使った解析にとどまらず細胞などを用いた実験もできることです。解析に必要なデータを自ら取得したり、解析で得られた仮説を実証したりする機会は非常に貴重であり、かつその能力は今後ますます重要になると考えています。このように改めて清水研について考えた際に自分にとって非常に好ましい場であると考え、進学するに至りました。

博士課程では、疾患のデータ駆動型の病態解明や治療開発研究、それらに資する手法開発に携わりたいと考えています。同時に、様々な研究分野・学問領域を学び、挑戦的だが実現可能で、かつ意義の大きな研究課題を考案する力や課題解決に必要な方法を発想する力を養いたいです。さらに、数理解析やAIの開発を高いレベルで実践しながら、細胞や動物などを用いたウェット実験も習得した人材を目指します。上記目標を達成し、自分の決断を正解にできるよう、博士課程では人一倍研鑽に励む所存です。

ここまで読んでくださった方が、このホームページを見てなお清水研で研究したいと考えているのであれば、ぜひ見学にいらしてください。仲間に加わってくださった際には微力ではありますが、精一杯サポートさせていただきます!

3期生・伊東 巧

私たちの強み

広い意味でのデータサイエンスをやっている先生はたくさんもいらっしゃいますが、それらの先生方の中で医師免許やその他医療系の診療現場での経験、バイオ実験系の研究実績、海外での研究経験をお持ちの方はとても少ないです。私は医学よりも前から情報科学に触れており数々の賞もいただいてきました。医師免許をとって研修医も修了しているので、診療の初歩は身につけています。また大学院時代はいくつかのデータサイエンス論文を出していますが、それとは別に実験系の論文で博士号をとりました。さらに、アメリカHarvard Medical Schoolへの研究留学もしており国際的な視点も身につけています。このように医学・生命科学・情報科学のトリプルメジャーである先生は日本国内にはまだかなり少ないかと思います。みなさんとバックグランドが近いこともあり、国際的な視座も含め多様な見地からより広範な学びを提供できるでしょう。

私たちは医療・バイオ・データ科学の融合分野を研究しています。AI創薬や数理/物理モデル・分子生物学といった基礎的な研究から、がん・感染症・生活習慣病・免疫疾患など幅広い疾患の研究まで手掛けていますし、いずれも海外の専門家集団による厳しい査読に合格して論文発表をしておりますので、科学的妥当性を満たしそれぞれの領域における新たな1ページを切り開いてきました。これはそのまま強みにもなり、清水研に所属することで基礎医学から臨床医学・データサイエンスの多様な領域を学ぶことができるということです。「耳学問」という言葉はご存知ですよね。たくさんのトピックスに見聞きするからこそ、一生をかけて取り組みたいquestionを吟味して発見し、学位取得後にその領域にフォーカスすることで他の医師にはない独自の視点が築けるのです。私たちの分野はM&Dデータ科学センターにありますが、データ科学はもちろんのことそれだけにとどまらない広範な武器を授けたい、そう考えています。

また、私たちは研究はもちろん、教育も非常に重視しています。 こちらのページも合わせてご覧ください。

MD-PhDコースを希望する学生さんへ

当分野で受け入れ可能なのは、次の全てに当てはまる学生さんのみです。

  1. 広い意味の「データサイエンスで未来の医療を創る」ことに強い興味関心があり、将来的に博士号取得・ポスドク等を経て学術/産業界でのPrincipal Investigator (教授・研究部長等)を本気で目指している方
  2. 清水研の教育ポリシー研究ポリシーに賛同いただける方
  3. 入学までの間、統計検定準1級統計検定 データサイエンスエキスパート、または応用情報処理技術者 いずれか取得に向けてデータ科学関連領域を継続して自習する意欲のある方。また入学後も最新の論文や集中ゼミなどから自ら貪欲に学び続け、また学んだことを仲間同士でシェアしさらに高め合っていけるような向上心と協調性のある方
  4. 自ら主体的に考え挑戦できる卓越した思考力・行動力のある方
  5. 少なくとも1年に1回の学会発表をする意気込みがある方
  6. 少なくとも2年に1報の論文発表をする意気込みがある方

上記をご確認いただいた上で出願を希望される方は、出願に先立って事前面談が必要です。清水へメールでコンタクトをとってください。

前提として、件名は「2025年度MD-PhDコース博士課程について問い合わせ (医学科4年・清水秀幸)」のように、入学希望年度、MD-PhDコース、学年とお名前が分かるようにしてください。

  1. どのような理由で当分野に興味を持ってくださったのかを簡潔にお書き下さい。
  2. 博士号取得後の理想のキャリアパスについて教えて下さい。
  3. データサイエンス領域と実験系の基礎医学領域それぞれにおけるご自身の現状の知識や経験について教えて下さい。
  4. コンピューター解析に特化したいのか、それとも基礎医学実験もしたいのか教えて下さい。また、最初のプロジェクトは現在の研究ページに掲げているものに関連することになる可能性が高いです。これらのうちどれに興味があるのか (あるいはどれでもいいのか) をお書きください。もちろんテーマが決まるのはまだずっと先ですが、これはどういうスタンスの研究に取り組みたいのか概要を把握するためにお尋ねしています。
  5. 清水の過去を振り返ったConnecting the dots私たちの挑戦、清水研の教育ポリシー研究ポリシーおよび大学院生Q&A(ページの下部) を読んだ旨をお書きください。
  6. 原則として連絡をいただいてから可能な限り早めに面談できるようにしておりますが、都合の悪い日や時間帯があらかじめわかっていればご教示ください。面談は基本的に月〜金の15時〜17時もしくは16時〜18時、ないし土曜日の午前になります。
  7. その他、面談時に特に詳しく知りたいことがあればお書きください。

以上を網羅したことをご確認の上、清水 (h_shimizu.dsc@tmd.ac.jp) までメールをお送りください。

面談は日程調整の上、駿河台キャンパス22号館にある私の部屋で行います。その際にはスライドを使って簡単な自己紹介をお願いしていますので、スライドは面談前日までに清水へメールでお送りください。そのスライドを映写できるように準備させていただきますので、当日はパソコン等の持ち込みは不要です。

よいご縁がありますことを楽しみにしております。