このページでは当研究室のJournal Club (JC) で紹介された論文と概要をまとめています。私たちのJCの最大の特徴は、担当者が行うのは背景の説明まででありFigureの説明を行うのは大学院生+学部生であることです。当然ながらFigureを人に説明するためにはしっかりと読み込んでいなければできないのですが、それを毎回のJCで担当するという負荷をかけるうちに、短期間で論文を読み解く実践力を身につけることができます。また、どうしても新入生はJC等でも先輩方の議論についていきにくいもの。そのため、当研究室ではJCの前にpre-JCという1年目の大学院生+学部生のみを対象にした事前勉強会を開催しており、tutorの教員1名とFigureの解釈について議論しています。同じ1年生しかいないからこそ、「恥ずかしくて聞けない」という心配なく分からないところをお互いにシェアして学び合うことでJC前の基礎体力づくりをしています。
第16回: 大野担当. Task-driven neural network models predict neural dynamics of proprioception. Cell 2024
タスク駆動型深層学習モデルにより、筋肉における固有受容入力から脳における神経活動を予測した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第17回: 清水担当. A small-molecule TNIK inhibitor targets fibrosis in preclinical and clinical models. Nature Biotechnol. 2024
治療薬がない特発性肺線維症の治療標的同定からヒット化合物の同定および最適化、前臨床試験までAIの力で18ヶ月で達成したという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第18回: 麻生担当. Expansive discovery of chemically diverse structured macrocyclic oligoamides. Science 2024
環状ペプチドを計算科学でデザインするという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第19回: 大田担当. Accurate structure prediction of biomolecular interactions with AlphaFold 3. Nature 2024
タンパク質の立体構造をアミノ酸配列から予測するのみならず、複合体や核酸との結合などもできるという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第20回: 古賀担当. Circadian tumor infiltration and function of CD8+ T cells dictate immunotherapy efficacy. Cell 2024
がんへ浸潤する免疫細胞に概日リズムが深く関わっていること、および免疫療法のタイミングが大事であることを示した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第21回: 大谷担当. Programming tumor evolution with selection gene drives to proactively combat drug resistance. Nature Biotechnol. 2024
シミュレーションと進化理論、および合成生物学を使ってがん細胞を根治させるという趣旨の論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第22回: 鈴岡担当. TERT activation targets DNA methylation and multiple aging hallmarks. Cell 2024
TERT活性化を介して抗老化作用を示す化合物を見出したという趣旨の論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第23回: 佐久間担当. Preclinical proof of principle for orally delivered Th17 antagonist miniproteins. Cell 2024
経口投与が可能なIL-23R・IL-17Aに結合するミニタンパクを開発したという趣旨の論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第24回: 博田担当. DNA language model GROVER learns sequence context in the human genome. Nature Mach. Intell. 2024
バイオペアエンコーディング等を活用しヒトゲノムの多階層にわたるDNA言語モデルを作成したという趣旨の論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第25回: 小川担当. Achieving optical transparency in live animals with absorbing molecules. Science 2024
身近な食品添加物で生きたマウスの組織の透明化に成功したという趣旨の論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第1回: 大野担当. Genome-scale metabolic reconstruction of 7,302 human microorganisms for personalized medicine. Nature Biotechnol. 2023
膨大なバクテリアのゲノムスケールモデルを構築し、それを使って個人ごとの薬の効きやすさ等の個別化医療への応用性も示した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第2回: 清水担当. Enzyme function prediction using contrastive learning. Science 2023
酵素の機能をアミノ酸配列のみから予測する教師あり対照学習ベースの手法CLEANを開発し、それをアノテーションが不十分な一連のhalogenaseにあてはめ、予測を実験的に検証した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第3回: 古賀担当. Comparative analysis of cell–cell communication at single-cell resolution. Nature Biotechnol. 2023
1細胞解像度で細胞間コミュニケーションを検出する手法を開発し、腫瘍微小環境内T細胞やハンセン病等のデータに適用し実証した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第4回: 麻生担当. Ångström-resolution fluorescence microscopy. Nature 2023
原子レベルまで蛍光顕微鏡解像度を高めることができるバイオテクノロジーであるRESIを開発し、核膜孔複合体などで実証した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第5回: 大谷担当. TomoTwin: generalized 3D localization of macromolecules in cryo-electron tomograms with structural data mining. Nature Methods 2023
Cryogenic electronic tomography (Cryo-ET) によって得られるデータを自動的にアノテーションし粒子のpickingができるTomoTwinを開発した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第6回: 大田担当. Faster sorting algorithms discovered using deep reinforcement learning. Nature 2023
深層強化学習により従来よりも高速なアセンブリ言語レベルのソーティングアルゴリズムを見出したという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第7回: 伊東担当. Engineered bacteria detect tumor DNA. Science 2023
大腸がんを検知するデザイナーバクテリアを設計したという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第8回: 大野担当. Learning protein fitness landscapes with deep mutational scanning data from multiple sources. Cell Systems 2023
複数のタンパク由来のDeep mutational scanning (DMS) 公開データ (バリアントに対する適応度のデータ)を学習し、バリアントに対する適応度を予測する手法GVP-MSAを開発した論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第9回: 古賀担当. Spatial single-cell mass spectrometry defines zonation of the hepatocyte proteome. Nature Methods 2023
シングルセルプロテオミクスを実現したという技術開発に、肝臓のzonationに関する機械学習を組み合わせた論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第10回: 麻生担当. Short tandem repeats bind transcription factors to tune eukaryotic gene expression. Science 2023
Short tandem repeats (STRs) の存在が転写因子の結合性に与えることを実証し、さらにその影響の大きさとメカニズムを明らかにした論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第11回: 大谷担当. Short tandem repeats bind transcription factors to tune eukaryotic gene expression. Nature 2023
DNAコンピューターの実現に向けプログラム可能な演算回路を開発したという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第12回: 清水担当. De novo design of protein structure and function with RFdiffusion. Nature 2023
拡散モデルを使って任意のタンパク質を生成する深層学習モデルを開発したという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第13回: 大田担当. Cell type directed design of synthetic enhancers. Nature 2024
深層学習モデルを活用して細胞特異的な合成エンハンサーの設計および機能の実験的検証を行った論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第14回: 伊東担当. Machine learning interpretable models of cell mechanics from protein images. Cell 2024
顕微鏡画像から細胞にかかる力を予測するAIを開発し、またそこに潜む物理法則に迫る論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。
第15回: 古賀担当. Kirigami electronics for long-term electrophysiological recording of human neural organoids and assembloids. Nature Biotechnol. 2024
オルガノイドの3D培養に重要な幾何学的デバイスを計算でデザインしたという論文。論文要約およびJC討論事項のサマリーはこちら。