バイオメディカルAI「春の学校2025」のご案内

データサイエンスやAIに関する言葉を聞かない日はないほど今日のデジタル社会にこれらは大きく浸透しています。現代の「読み・書き・そろばん」と言っても過言ではないでしょう。このような背景を受け、文部科学省も大学等が数理・データサイエンス・AI教育に取組むことを後押しする制度 (右図) を創設しました。書店にいけばたくさんの書籍があり、YouTubeやブログなどインターネットにもさまざまなコンテンツが共有されています。

しかし、それらの教材の多くは一般的なビジネス向けか、あるいはより理論的な側面を重視した専門家向けのどちらかであり、その両者の間が少ないように感じています。特に医療や生命科学領域のAIについては、独自の専門知識 (ドメイン知識) も必要になるためか、残念ながら学びたくてもそれほどは機会が多くないかと思います。

そこで、微力ながら少しでもそういった開かれた機会を提供させていただくため、夏の短期セミナーとして応用基礎レベルに相当する「バイオメディカルAI 夏の学校」を開催しております。さらにその一歩上のエキスパートレベルのための土台づくりとして、「春の学校2025」を開講いたします。普段から第一線でAIを駆使している方には物足りない内容かと思いますが、「夏の学校」の修了程度、および生命科学・医学領域の研究等にAIを多少使っているという方にとってさらに上のレベルを勉強する絶好の機会の1つかと思います。実験系・医療系を専門にしていて、AI・データサイエンスをさらに取り込んでいきたい方、あるいはこれから情報系の研究室で本格的に修行を始めるがその前段階の訓練をしたい方、にとって絶好の機会かと思います  (すでに情報を武器にしている方がさらに伸ばしていくための専門家向けコースではございませんのでご留意ください)。今年度は初回なので至らぬ点も多々あるかと存じますが、ぜひ終了後にフィードバックをいただき次年度以降の改善につなげていきたいと考えております。以下、詳細です。

日時:  メインは2025年 3月20日(木祝、春分の日)(実施時間帯:9:00~17:00)。希望者は2025年 3月7日(金) 17:30からのオンライン論文輪読会Biomedical Data Science Clubもゲスト参加可能です。

開催形式: オンライン開催 (動画配信はZoom、質疑応答・資料共有はslack) 

対象・参加費:  大学学部生以上 で、下記全て満たす方。参加費は無料。社会人の方も大歓迎です。

  1. 原則的に3/20 (春分の日) 朝から夕方まで全日程とも参加できる方。一部しか参加できない方もご事情を書いていただければ申込みができます。3/7 (金) はオプションですので参加できなくても問題ありません。
  2. 夏の学校修了者 (年度は問いませんが修了証を発行されている方)、またはBiomedical Data Science Clubで1回以上の発表経験者、または情報オンリピック・Kaggle等のコンペティションで入賞歴がある方、または領域不問ですが早くから研究活動に勤しんでいてすでに筆頭著者としての学術論文をお持ちの方 (この要件は学部生・修士課程の現役学生に限る)、その他清水がこれらと同等と認めた方 (お問い合わせください)
  3. 春の学校ではプログラミング環境としてGoogle Colaboratoryを使うため、Googleアカウントをお持ちの方。

さらに下記2点のお願い事項を誓約いただける方。

  1. 配布資料やコード等について著作権は放棄しておりませんので個人の学習以外の用途 (再配布等) をしないと固くお約束いただける方。
  2. 4月末までにアンケートおよび感想文 (次年度の参加者へのメッセージを含む。word 半~1ページ程度) を提出いただける方。感想文は匿名で「春の学校」ページに掲載させていただきます。

日程

2025/3/7 (金、希望者のみ)

  • 17:30-19:00 Biomedical Data Science Club (希望者のみオンライン参加, エキスパートレベル): 全国の優秀な学生さんたちが隔週・オンラインで行っている論文輪読会へのゲスト参加です。詳細はこちら

2025/3/20 (木祝) : いずれも赤Pythonには載っていない新作シリーズでの演習になります

  • 9:00-9:30 近年のバイオメディカルAI、ライフサイエンスの観点から (講義, エキスパートレベル):  近年の生命医科学研究へのAI活用のトピックスについて、ライフサイエンスの観点から複数の論文を元にoverviewします。
  • 9:30-10:00 大規模言語モデルLLMについて知っておくべき全てのこと (講義, エキスパートレベル):  いろいろなAIがある中で全ての生命科学者・医療者にとって不可欠になってくるであろうLLMについて、専門家の講演を聞くうえで「事前に知っておくべき全てのこと」をお伝えします。
  • 10:15-11:00 ゲノムへのAIの活用 (ミニ講義+実習, 応用基礎レベル): 春の学校の一番最初の演習として、まずは応用基礎相当の難易度の課題をもとにゲノム科学へのAIの適用を学びます。
  • 11:15-12:10 AIによるchemical-protein interaction (CPI) 予測  (ミニ講義+実習, エキスパートレベル): 夏の学校では化合物の性質を予測しましたが、一歩踏み込み目的タンパクに結合するヒット化合物を同定するCPI予測AIの開発を行います。
  • 12:10-12:30 午前で扱ったトピックスに関連する研究の実際 (研究紹介 + 質疑, エキスパートレベル): 実際の研究への展開として12分で研究内容を簡単にご紹介します。その後8分間の質疑の時間もとりますのでご自由にご発言ください。ここの部分のスライドは配布しません。
  • 13:30-14:30 AIの形態学への応用 (ミニ講義+実習, エキスパートレベル): 医療画像へのAIの応用として、病理画像を使った形態評価やアノテーションなどを行うAIを構築します。
  • 14:45-15:15 バイオメディカルデータのAI因果推論(ミニ講義+ミニ実習, エキスパートレベル): 相関は因果関係を意味しないとよく言われますが、因果関係を推論できるAIのアプローチをご紹介し疾患データで実際に動かしてみます。
  • 15:15-15:35 午後に扱ったトピックスに関連する研究の実際 (研究紹介 + 質疑, エキスパートレベル): 実際の研究への展開として12分で研究内容を簡単にご紹介します。その後8分間の質疑の時間もとりますのでご自由にご発言ください。ここの部分のスライドは配布しません。
  • 15:45-17:00 近年のAIのトピックス、情報科学の観点から (講義+ミニ演習, エキスパートレベル / エキスパートレベルプラス): 最後にニューラルネットワークの構造に関するいくつかの近年のホットトピックスを紹介し、一部は実際に動かしてみてどういうものかということを体験していただきます。この時間帯は情報科学ベースのご説明であり、バイオメディカルデータは出てきません。新しい技術を理解しどのように自分のデータに適用できるのか考案することがこの先みなさんが必要になることです。ここで紹介した技術や考え方をご自身のデータにどう適用できるのか、それを考えることを春休みの宿題とさせていただきます (笑) 。

重要なご案内 (必ずご確認ください):

  • いただいたメールアドレスに春の学校2025参加者限定のslackへ招待しますので、メンバーになっておいてください。資料等の共有は全てそちらで行います。また質問事項は参加者全員が見えるチャンネル上でお願いいたします。ダイレクトメッセージ (DM) 等でのご質問は対応できません。
  • 欠席の方のための後日のオンデマンド配信の予定はございません。春の学校は当日限りです。
  • ご参加いただいた後に簡単なアンケートをお送りいたします。その回答、およびweb掲載用の感想文 (次年度受講者へのメッセージを含む) を4月末までにメール等で提出いただいた時点で春の学校の修了となります。修了者には修了証をPDFで発行いたします。「春の学校」はエキスパートレベルを中心にした構成になっていますが、さらに上のレベルのイベント (「春の学校advanced」など) を当研究室が将来的に実施する際には「春の学校」の修了証を持っていることを応募の必須要件とさせていただく予定です。

申し込み方法:

下記Googleフォームから2月末までにご登録ください。他の方法 (メールなど) での応募はできません。原則として土日祝を除いて5日以内に受理のメールを差し上げますので、届いていない方はお手数ですが迷惑メールに誤分類されていないかを確認していただいてからお問い合わせください。