バイオメディカルAI「夏の学校」のご案内

データサイエンスやAIに関する言葉を聞かない日はないほど今日のデジタル社会にこれらは大きく浸透しています。現代の「読み・書き・そろばん」と言っても過言ではないでしょう。このような背景を受け、文部科学省も大学等が数理・データサイエンス・AI教育に取組むことを後押しする制度 (右図) を創設しました。書店にいけばたくさんの書籍があり、YouTubeやブログなどインターネットにもさまざまなコンテンツが共有されています。

しかし、それらの教材の多くは一般的なビジネス向けか、あるいはより理論的な側面を重視した専門家向けのどちらかであり、その両者の間が少ないように感じています。特に医療や生命科学領域のAIについては、独自の専門知識 (ドメイン知識) も必要になるためか、残念ながら学びたくてもそれほどは機会が多くないかと思います。

そこで、微力ながら少しでもそういった開かれた機会を提供させていただくため、夏の短期セミナーとして「バイオメディカルAI 夏の学校」を開催いたします。ゆくゆくはこの領域をご自身のフィールドに融合していただくための土台づくりとして、この夏の学校では文科省が定義するところの「応用基礎レベル」のハンズオンを中心にした構成になっています。また、「エキスパートレベル」の内容も一部盛り込んでいます。普段から第一線でAIを駆使している方には物足りない内容かと思いますが、市販の入門書等でAIを学びPythonによるプログラミング経験も多少ある方にとって、医療/ライフサイエンスAI領域の実践的な入口までの橋渡しとして最適な内容を目指しています (すでに生命医科学領域のご研究や事業などでAIをたくさん使っている方を対象とした専門家向けコースではございませんのでご留意ください)。

2026年度はオンライン+対面合わせて100名近くの方が受講しました。高校生1名の他、学部生・大学院生など学生さんが半分程度、残り半分程度の方は社会人の方 (企業にお勤めの方・医療専門職・アカデミア研究者などさまざま)でした。修了後に「夏の学校2026は勉強になりましたか?」というアンケートをとったところ「とても勉強になった」が92%、「ある程度勉強になった」と合わせて参加者みなさんが「勉強になった」とお答えいただいています (右図)。

また、下にお示しするのは「参加者の声」の一部です。

緒言として、生命科学研究に携わる全ての学生・研究者にとって有意義な勉強会であると感じました。 本勉強会では、ニューラルネットワークや大規模言語モデル等のAI技術がどのような原理で作動し、それが実際の生命科学研究においてどのように応用され、具体的にどのようなコードを組めばよいか、を1日で学ぶことができるカリキュラムとなっていました。LectureパートとProjectパートが交互に繰り返され、Lectureパートでは、AIの原理とその応用先に関する講義、Projectパートでは、実際のコードを用いたAI構築・利用の実践演習が展開されました。本勉強会を通じて、AIを自身の研究に取り入れる際に、どう着手してよいか、ということの感覚をつかむきっかけになったと感じています。 清水先生や清水研究室の学生の皆様によるの講義・実践演習プログラムは、非常に洗練されていて、AI分野に明るくない私にとっても非常に分かりやすい内容でした。正直、この講義が誰でも無料で受けられるのは、なかなかない貴重な機会だと思います。 また、対面で参加した他の参加者や、清水先生、清水研究室のメンバーの方々とお話できたのも、非常に有意義でした。オープンマインドな方が多く、初対面の方同士でも話が弾む良い雰囲気の会でした。もちろん、AIに関して学ぶことが本勉強会参加の最大の意義でしたが、それ以外にも、自身の研究活動に活きるような会話ができて楽しかったです。 特に、遠方からの対面参加者が割と多かったのが印象的でした。 このような勉強会に初めて参加しましたが、他の人にも自信をもって勧めることのできる会でした。「自分の生命科学研究に取り入れたいけど、ハードルが高そう。」「AIには興味があるけど、実際に自分の研究に使う方法が分からない。」そのような方にぜひおすすめしたい会です。
この度は、「夏の学校」への参加機会を賜り、誠にありがとうございました。 当日は、機械学習の基本的な実装方法から、時系列モデルや言語モデルの扱い方、さらにはそれらを場のインフォマティクスへどのように応用するかまで、講義と演習の両面から幅広く学ぶことができました。これほど密度の高い内容を、わずか1日で、しかも無料で受講できる機会は大変貴重であり、清水先生をはじめ、研究室の皆様の高いホスピタリティと教育に対する志によって実現しているものと感じております。 機械学習やAIに関する知識を得られた点でも非常に満足度の高い機会でしたが、特に印象に残ったのは、研究室の皆様の卓越したプレゼンテーション力、説明力、そして明るく活気ある雰囲気です。 単に難解な技術を説明するのではなく、「なぜこの研究や技術が必要とされているのか」「その技術の本質はどこにあるのか」といった背景から丁寧に導入されており、研究の意義から具体的な技術内容までを一気通貫して理解できる構成となっていました。また、限られた時間の中で内容を過不足なく伝える時間管理の巧みさにも、大変感銘を受けました。 研究内容そのものはもちろんのこと、プレゼンテーションをはじめとする周辺スキルや、研究を円滑に進めるための環境づくりにも力を注がれている様子を拝見し、深い尊敬の念を抱きました。決して長い歴史を持つ研究室ではないにもかかわらず、各プロジェクトがここまで体系的かつ組織的に進められていることからも、国内屈指といっても過言ではないほど、充実した研究環境であると感じました。 「夏の学校」は、AIや機械学習を学ぶ絶好の機会であるだけでなく、この素晴らしい研究環境や研究室の文化を実際に体感できる点にも、大きな意義があると思います。大変貴重な機会をいただき、改めまして心より御礼申し上げます。

こちらのページ参加者全員のメッセージをお読みいただけますが、非常に有意義な企画だったとご評価いただきました。

以下、2026年度「夏の学校」の詳細です。

日時:  2026年 8月1日(土)(実施時間帯:9:00~18:00) 

開催形式: 現地 (Science Tokyo 駿河台キャンパス、最寄りはJR 御茶ノ水駅) + オンラインのハイブリッド開催。ただし現地をご希望いただいても、人数の関係からオンラインでのご参加をお願いすることがございます。

対象・参加費:  下記全て満たす方。参加費は無料

  1. 原則的に朝から夕方まで全日参加できる方。一部しか参加できない方もご事情を書いていただければ申込みができます。保護者の了解が得られれば高校生も参加可能です (が、2にあるように学部1年修了程度の知識を前提とさせていただきますのでご留意ください)。
  2. 広義のライフサイエンス (医療や創薬を含む) と情報科学 (データサイエンス・AI等) の融合領域に強い関心があり習得したい方
  3. 前提として、理系学部における1年修了程度の数学 (線形代数・統計学)、生命科学 (分子細胞生物学) および医療概論に関する基礎知識をお持ちの方。これらの知識は夏の学校においては説明なしで使わせていただきます。
  4. バイオメディカルAI体験コース相当の初歩的なPythonおよびAIの経験があること (たとえば入門書にも載っている多層パーセプトロンMLPなどは説明なしで使わせていただきます)
  5. 夏の学校ではプログラミング環境としてGoogle Colaboratoryを使うため、Googleアカウントをお持ちの方。

さらに下記2点のお願い事項を誓約いただける方。

  1. 配布資料やコード等について著作権は放棄しておりませんので個人の学習以外の用途 (再配布等) をしないと固くお約束いただける方。
  2. 8月末までにアンケートおよび感想文 (次年度の参加者へのメッセージを含む。word 半~1ページ程度) を提出いただける方。感想文は2027年度に参加を検討している方に向けて匿名で「夏の学校」ページに掲載させていただきます。

当研究室が開催する他の講習会との関係:   

当研究室では社会貢献の一貫として無料の公開講座を定期的に行っております。対応関係は次のようになります。本講座はintermediateな内容を含みますので、まだはじめてに近い方は他の講習会をご検討ください。

日程

2026/8/1 (土)

  • 9:00-9:35 Lecture 1: 医療AIの現在:  AIの基本とバイオメディカルへの応用について概説します。
  • 9:40-10:30 Project 1: がんのトランスクリプトーム解析: バルクの遺伝子発現量データを公共データベースからダウンロードし、正常とがんを正しく分類する問題を通して、AIの基礎事項やバイオインフォマティクスとの接続を学びます。
  • 10:40-11:10 Lecture 2: 画像処理とゲノムへの応用: 医療画像の扱いや畳み込みのゲノムへの応用の概略などをご紹介します。
  • 11:10-11:50 Project 2: 畳み込みニューラルネットワークによる医療画像AI: 胸部レントゲン写真を題材に、シンプルな画像AIを構築してみます。
  • 11:55-12:25 バイオメディカルAI研究事例紹介: 午後に学ぶ大規模言語モデルやAI創薬のイントロとして、それらを活用した研究事例を2名の学生から紹介します。AIエージェントを開発する研究と、中分子創薬に関する研究です。
  • 12:25-13:25 座談会 (対面参加の希望者のみ): 当研究室所属の学生さん達とご飯を食べながらフリーでいろいろお話いただけます。
  • 13:30-14:30 Lecture 3: 大規模言語モデルの舞台裏: ChatGPTやGemini, Claude等の大規模言語モデルLLMはどのように動いているのか、その背景を数式をなるべく使わずに学んでいきます。この時間は生命科学・医学の要素はほとんどありません。
  • 14:40-15:35 Project 3:大規模言語モデルのタンパク質科学への応用: アミノ酸配列からタンパク質の立体構造はかなりしっかりと予測できるようになりました。ここでは、タンパクの機能や局在の予測といった課題に取り組んでいきます。
  • 15:45-16:00 Lecture 4: ケモインフォマティクス超入門: 化学領域の情報学 (ケモインフォマティクス) についてProject 4で必要になる周辺知識に絞ったミニレクチャーを行います。
  • 16:00-16:50 Project 4: AI創薬入門: 2つのシンプルな課題を通じて、化合物の情報からその性質をAIで予測していきます。
  • 17:00-17:40 Lecture 5: ここ5年ほどのAI研究の主要トピックス & 生命医科学研究におけるAI研究の最前線: 生成モデル、少データ学習など実習では時間の関係上扱うことができなかったが重要事項をキーになる数式も交えて概説します。AlphaFold3やRFDiffusion、他にも近年のバイオテクノロジーやその医療応用を大きく加速させる可能性を秘めている直近1-2年以内の最前線のAI技術を概説します。 
  • 17:40-18:00 AIシステム医科学分野の紹介とさらなる修得に向けて: 夏の学校を終えた後にさらにどのようなことを学んでいけばいいのか、当分野の取り組みも含めてご紹介します。
  • 18:10-18:30 清水研ツアー (対面参加の希望者のみ): ラボの中をご案内します。

当日までの準備について:

  • いただいたメールアドレスに夏の学校2026参加者限定のslackへ招待しますので、メンバーになっておいてください。資料等の共有は全てそちらで行います。また質問事項は所属とフルネームを名乗っていただいた上で、参加者全員が見えるチャンネル上でお願いいたします。ダイレクトメッセージ (DM) 等でのご質問は対応できません。
  • 資料はslackチャンネルで1週間ほど前を目安に共有します。時間が限られているため進行が早いので、可能な限り予習をおすすめします

当日について:

  • 現地参加の方は昼食の準備を忘れずにお願いいたします (コンビニでよければ、会場から徒歩1分の場所にセブンイレブンがございます)。朝のうちに準備してからいらっしゃることをおすすめします。駐車場はございませんので、公共交通機関を使ってお越しください。JR御茶ノ水駅から徒歩5分です。
  • 本イベントは無料開催ですので事故・不具合等への補償は一切できかねます。つまり現地参加のために移動中に怪我をしたとか、オンライン参加中に通信が不安定になった等のトラブルの際に我々が責任を持つことはできません。
  • 欠席の方のための後日のオンデマンド配信の予定はございません。夏の学校は当日限りです。

後日のことについて:

ご参加いただいた後に簡単なアンケートをお送りいたします。その回答、およびweb掲載用の感想文 (次年度受講者へのメッセージを含む) を8月末までにメール等で提出いただいた時点で夏の学校の修了となります。修了者の方には、当研究室が実施する他のイベントに優先的にご案内させていただきます (いずれも定員があるので確約はできませんが)。

募集定員: 疑問点が出た際に対応させていただくスタッフの人数の関係から、恐れ入りますが定員を設けさせていただきます。1次募集・2次募集合わせて100名 (オンライン含む)です。

申し込み方法:

下記Googleフォームからご登録ください。他の方法 (メールなど) での応募はできません。