私がこれまでたくさんの方を見てきてよくわかったのは、「実験」や「解析」が上手な人達はたくさんいます。でも残念なことに、「レベルの高いテクニシャン」で終わっている人のなんて多いことか。研究というのは、それをまとめて論文として発表しない限りただの自己満足です。素晴らしいデータがあっても、それを論文にできない人は数多といます。それは時間の無駄遣いでもあり、税金の無駄遣いでもあります。研究者としての第一の評価は論文です。それも、誰かが書いてくれた論文に共著者として、というのではなく、自分が筆頭著者としてどれくらいの論文 (量 x 質) を書いたのかということによってきます。執筆が好きか、あるいは仮に好きでなくても自分に負荷をかけて短いスパンの締切を設定し、その締切以内に何が何でも原稿を書き上げることができるのか、そこがキャリア形成の大きな分岐点でしょう。