小川 諒 (Ryo Ogawa)
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 修士課程 卒 (清水研2期生)
【自己紹介・ひとこと】
私は大学に入学当初、化学に興味があり将来は有機合成を通して医薬品を創出する研究者になりたいと思っていました。しかし、大学でいろいろ勉強をしていき、多方面の教授から「特に低分子医薬品などといった、化合物は出尽くしていてこれから新たに新規化合物を合成するということは難しく、これからの時代は核酸医薬や、AI創薬や主流になっていく」ということを耳にし、ここからAI創薬に興味を持つようになりました。
バイオインフォマティクスと呼ばれる生物学と情報学の融合分野は、両方の知識を習得していくことは大変であると認識していますが、清水研究室での日々を通してこれらの専門知識を習得し、将来的には稀有な人材となれるよう頑張っていきます。
- 新潟県出身、新潟高等学校卒
- 2020-2024 東京理科大学 薬学部生命創薬科学科
- 2024.4-2026.3 東京医科歯科大学 (2024.10より東京科学大学) 大学院医歯学総合研究科 修士課程
- 卒業後 塩野義製薬へ
- 量子化学の知見を学習した創薬AIの開発
- 急性骨髄性白血病の統合ネットワーク解析
これまでの学会発表 (全4件)
- 小川諒, 鈴岡拓也, 大谷悠喜, 清水秀幸. 量子化学的知見を用いたAI創薬:物理的妥当性に基づく化合物-タンパク質相互作用予測の汎化性向上に向けて. 第48回日本分子生物学会年会(MBSJ2025), 2025, 横浜
- Ryo Ogawa, Takuya Suzuoka, Yuki Otani, Hideyuki Shimizu. Quantum-informed AI for drug discovery: enhancing generalizability in compound-protein interaction prediction. CBI学会2025年大会, 2025, 船堀, Student Presentation Award
- 鈴岡拓也, 小川諒, 清水秀幸. 薬物動態の数理に基づくADMET予測モデルの構築. 学術変革領域研究 (A) 天然物が織りなす化合物潜在空間が拓く生物活性分子デザイン 第2回リトリート2025, 鶴岡
- 小川 諒、大野 聡、佐久間 智也、伊東 巧、大田 航平、清水 秀幸. 急性骨髄性白血病の統合ネットワーク解析. 第47回日本分子生物学会年会, 2024
清水研加入以前の研究内容
- 学部卒業研究:non-coding RNA 配列データ解析のインフォマティクス
受賞
- 小川諒. CBI学会2025年大会. 学生発表奨励賞
特技・自己PR
- 全国中学校卓球大会団体戦 出場
- 全国高校生金融経済クイズ選手権県大会 3位
- ピアノ(ショパンが好き、時間があるときは街中に置かれたストリートピアノ巡り、大学では100名を超えるピアノサークルの代表)
- 鉄道(いわゆる乗り鉄、発車メロディーが好きな聞き鉄)
- ディズニー(東京ディズニーランドやシーへ行き、なぜゲストが魔法にかけられるのか研究)
清水研で学んだこと, 2026.03.29掲載
卒業にあたり、清水研究室での2年間の歩みを振り返ると、研究を通じた専門知識の習得以上に、これからの人生の指針となる「4つの大切な姿勢」を学ぶことができたと感じています。
- 「伝わる」ための表現力と多角的な視点
清水研では、研究進捗報告(PR)や論文輪読会(JC)など、プレゼンテーションの機会が多くありました。そこで痛感したのは、自分が理解している内容を、相手に過不足なく伝えることの難しさです。どれほど優れた知見であっても、相手に伝わらなければ価値を十分に発揮できません。発表とフィードバックのサイクルを繰り返す中で、受け手の視点に立ち、情報を整理して「見せ方」を工夫する重要性を学びました。この「伝える力」への意識は、研究のみならず社会のあらゆる場面で必要とされる基盤になると確信しています。
- 「言語化」による自己成長とスキルの吸収
研究室の尊敬できる先輩や同期の優れた振る舞いから多くを学びました。「学ぶ」の語源が「真似ぶ」であるように、まずは優れた人を模倣することから始めましたが、その過程で重要だったのが「言語化」です。「なぜこの発表は分かりやすいのか」「なぜこの分析は鋭いのか」を自分なりに言葉に落とし込むことで、自分に足りない要素が明確になります。学会やシンポジウムで素晴らしい発表に触れた際も、その理由を言語化して分析する習慣をつけることで、一歩ずつ自分の血肉に変えていく手法を身につけることができました。
- 生成AI時代における「ドメイン知識」の価値
生成AIの普及により、誰もが高度なプログラミングや解析を行える時代になりました。だからこそ、AIが出した回答の正誤や妥当性を判断するための「ドメイン知識」のリテラシーが、かつてないほど重要になっていると感じます。 ルーティンワークはAIに任せ、人間はクリエイティビティが必要な領域や、専門知識に基づいた責任ある判断に注力する。清水研での研究生活を通じて、最新技術を使いこなしつつも、その根底にある専門性(ドメイン知識)を磨き続けることこそが、人間にしかできない役割を果たす鍵になると学びました。
- 先見の明を養うための「情報感度」
「幸運の女神には前髪しかない」という言葉があるように、好機を逃さず掴み取るためには、常に変化の兆しを捉える「先見の明」が必要です。そしてその力は、決して天性のものではなく、日々の地道な情報収集の積み重ねによって養われるものだと学びました。あらゆる方面にアンテナを張り、最新の技術動向や情報をキャッチアップし続けることは、研究の質を左右するだけでなく、不確実な未来において正しい選択をするための武器になります。常に感度を高く保ち、自ら情報をアップデートし続ける姿勢を、これからも大切にしていきたいと考えています。
結びに
最後になりますが、厳しくも温かくご指導くださった清水先生、そして切磋琢磨し合いながら共に過ごした研究室のメンバーに、心より感謝申し上げます。清水研で得たこれらの学びを糧に、卒業後も自己研鑽に励み、社会に貢献できるよう精進してまいります。
大学院最初の3ヶ月で成長できたこと, 2024.07.31掲載
清水研究室に入学して、最初の3か月で成長できたと感じていることについてまとめる。
研究室に入学してからの最初の3か月は、新しい環境に適応し、多くの挑戦と学びを経験した期間であった。入学してすぐに、BDSCの論文紹介の担当が回ってきて、論文を説明する機会があった。この発表は自分が思った以上にうまくいかず、論文を正確に読み込み、その内容をわかりやすく伝える力が圧倒的に不足していることを痛感した。さらに、専門知識の不足により、発表に対する質問に適切な回答をする力が欠けていることを強く感じた。このように、専門知識の不足を補う必要性を痛感しため、最初の3か月で自己成長するための努力を続けた。
この3か月で、解剖学や生理学といった基礎医学、分子細胞生物学や生化学といった生物学、線形代数や微分積分といった数学、プログラミングや機械学習の勉強など、幅広い分野の基礎を徹底的に学んだ。これらの勉強会を経て、GM(各研究グループでの研究進捗会)やJC(論文輪読会)に参加すると、入学当初は全くわからなかったことが少しずつわかるようになり、さらに聞いたことのある知識が増えていくことで理解にかかる時間が徐々に減っていることに気付いた。また、これら研究室のイベントで行われる清水先生からの「教育的質問」、すなわち一度学んだことを違う場面できかれる経験を通して、学んだ知識の点と点を結びつけ、有機的な理解に繋げることができたと感じている。
この3か月で特に印象に残っているのは、5月から行われたBriefing in Bioinformatics誌を用いた論文の査読会で毎週発表を行った経験である。合計8回の発表をしたわけだが、最初は右も左もわからず、苦労の連続であった。しかし、回を重ねるうちに少しずつ論文読解の基礎体力及び発表に関するスキルが身についていったと感じた。さらには、論文をクリティカルに読む力を身につけることの重要性に気付いた。学部時代は論文を「理解する」ことに多く注力していたが、ただ理解するだけではなく、その論文の売りは何か、新規性は何か、弱いところは何かといった「内容を見極め理解する」力を少しずつ養うことができたと感じている。
このように、最初の3か月は人生の中でも一番忙しいといっても過言ではないほど非常に大変で忙しい日々が続いたが、その努力が確実に自己成長に繋がっていると実感している。大学院の授業やレポートと同時並行で研究室の勉強会やイベントに参加するのは並大抵のことではなかったが、この3か月を経たことで問題解決能力や時間管理能力、さらには発表の経験を通したコミュニケーション能力など、多方面でのスキルアップを感じることもできた。今後も、この成長を基盤にし、研究を頑張っていきたいと思う。
