NGS EXPO 2024 参加レポート

NGS EXPOは大会長の大倉永也先生 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター) が中心となって開催されており、今年で3回目の開催となった。通常の研究内容で集う学会とは異なり、NGS関連領域の技術で集って情報共有することを主に目指した学会である。今年の参加者数は400名を超え、講演会場がほとんど埋まるほどの盛況となった。

セッションは基調講演、招待講演、一般講演、協賛企業セッション、テクニカルセミナー、ランチョンセミナー、ポスターセッションで構成されていた。通常の学会と比較して空き時間が少なめで朝から晩までみっちりと予定が詰まっており、非常に充実した二日間となった。協賛企業セッションが多く設定されていることが特徴の一つで、NGS EXPOにさえ参加しておけばその年のデータ解析機器のアップデート情報をまとめて確認できる仕組みになっていた。

招待講演1では、臨床検体を用いたシングルセル解析や空間オミクス解析におけるサンプル調製のTipsが紹介された。テクニカルセミナー1では、空間トランスクリプトミクスの解析手法、ChatGPTを利用したシングルセル解析などを紹介された。基調講演1では鈴木絢子先生 (東京大学) より、Visium HDとXeniumを活用したがん微小環境の解析を紹介された。招待講演2では、遺伝子制御ネットワークや核内ゲノム空間動態の解析、DNAメチル化情報からの細胞状態解析などを紹介された。テクニカルセミナー2では、シングルセルデータ解析のアップデートと先進ゲノム支援の情報共有がなされた。基調講演2では小口綾貴子先生 (理研) より、scRNA-seqデータ取得時の工夫によって得られるエンハンサー情報を利用した炎症性腸疾患などの解析を紹介された。招待講演3, 4では一般的な解析にとどまらない多様なデータ解析手法やデータの活用方法が紹介された。

今回私は講演のご招待をいただき、招待講演3で発表した。講演内容として求められていたことは最新の研究内容よりも解析におけるノウハウの共有である。そこでテンソル分解を用いたシングルセルデータの解析例を紹介したのだが、招待講演自体初めての経験だったうえに想像していたよりも多くの聴衆の前での発表となり、非常に緊張して早口になってしまったことが悔やまれる。経験の不足を自覚するとともに緊張しても変わらず発表できる仕組み作りを進める必要性を強く感じる機会となった。

助教・麻生 啓文