iGEMに関連して合成生物学のオンライン研究をしたい学生さんを募集しています

東京医科歯科大学AIシステム医科学分野の清水です。私達は、システム生物学と合成生物学の可能性を信じている若いチームです。特に、神秘的な生命現象のデータを解明し、それを工学的に改変し、そして生命科学の革新的な研究手法の開発や、病気の診断・治療等に応用することに興味があります。

私はアメリカ留学時代に合成生物学のメッカであるWyss Institute for Biologically Inspired EngineeringというHarvardとMIT (マサチューセッツ工科大学) の研究機関に在籍していましたので、合成生物学の国際コンペティションであるiGEM出身者やtutorたちと日々研究で切磋琢磨しておりました。

日本で2022年に独立後に始めた (全国の) 学部生を対象にしたオンライン研究制度では、バイオインフォマティクス関連ですでに筆頭著者として学部生が論文発表をする (こちら) など、まだ始まって数年ですが教育と研究の成果がすでに出始めています

Harvard留学時代の職員証。下が、合成生物学のメッカであるWyss研究所のもの。

その次の段階として、合成生物学に関するオンライン研究の機会をこれからの未来を作る学生さんたちに提供したいと考えております。iGEMに参加するなどして合成生物学のコンセプトに慣れ親しんだ後は、もう一段進んで今度は合成生物学の「研究」をして論文発表を目指しませんか?

私達の研究室は実験の設備もあるのですが、ここで提供できるのはあくまでオンラインのいわゆるドライ研究です。しかしながら、例えばもともとはバクテリアのゲノムが持つ謎の繰り返し配列からCRISPRが発見されそれが今やゲノム編集のツールとして大活躍されているように、ゲノム解読されたばかりの生物のゲノムマイニングをすることで合成生物学に不可欠のパーツが手に入るかもしれません。また、合成生物学の必須ツールであるさまざまな回路設計を合理的に行う計算手法ができれば実験的にトライ&エラーをする回数も減るでしょう。ベーシックなところでは、プロモーター活性をDNA配列のみから予測できれば、さまざまな強度の転写活性を持つ人工配列の創成にもつながります。そしてこれが大事なところなのですが、工学はアイデア次第で可能性は無限大です。iGEMでそれはご存知ですよね。みなさんの興味に応じた柔軟なテーマ設計と研究を支援します。

このように、数理や情報科学の観点から合成生物学の研究をして、その成果を論文化することは、合成生物学への貢献はもちろん、みなさんの今後のキャリアパスにも大いにポジティブでしょう。今は一昔前と異なりさまざまなことがオンラインでできる時代です。興味のあることにとことん向き合いたい、その熱意を全力でサポートします。

合成生物学のオンライン研究をしたい学生さんは、こちらのオンライン研究一般に関する記事もお読みいただいた上で、お気軽にメールでご連絡ください。必ずお返事差し上げます。未来の合成生物学界隈を担っていく学生さんとご一緒できるのをとても楽しみにしております。