鈴岡 拓也 (Takuya SUZUOKA)
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 博士課程2年 (清水研2期生)
【自己紹介・ひとこと】
学士、修士と異なる分野での研究を経験し、様々なアプローチから問題解決に挑んできました。それぞれの研究室で培った知識や技術を、博士課程の研究に活かしていく所存です。特に、これまでに学んだ薬物動態理論とデータサイエンス技術の融合を図り、新たな知見を創出することに挑戦してまいります。
研究だけではなく、研究室のメンバーとの交流を通じて、互いに刺激し合いながら、成長していけることを大変楽しみにしております。
- 東京都出身、芝高等学校卒
- 2018-2022 北里大学薬学部生命創薬科学科
- 2022-2024 東京医科歯科大学医歯総合研究科修士課程 (薬物動態学分野)
- 2024-現在 東京医科歯科大学 (2024年10月より東京科学大学) 大学院医歯総合研究科 博士課程
- 合理的な薬剤設計のための薬物動態を考慮した ADMET 予測AIの開発
- 神経疾患の治療標的探索のためのシングルセルデータ解析手法の確立
これまでの学会発表
- 鈴岡 拓也、麻生啓文、古賀大介、清水秀幸. 合理的な薬剤設計のための薬物動態を考慮した ADMET 予測AIの開発. 第47回日本分子生物学会年会, 2024
- 鈴岡 拓也, 柘植 昴太, 石渡 泰芳, 永田 将司, 日本人小児急性リンパ性白血病患者におけるメトトレキサート母集団薬物 動態モデルの構築及び評価, 日本薬学会第144回年会, 横浜, 2024
清水研加入以前の研究内容
- (修士論文) 治療薬物モニタリングに基づく臨床薬物動態解析
- (学部卒業研究) トランスポーターの機能解析
資格・免許 (研究業務に関するもののみ)
- バイオインフォマティクス認定技術者(日本バイオインフォマティクス学会)
- 毒物劇物取扱者
- 登録販売者試験合格
趣味・特技
- 剣道3段(日本剣道連盟)
- 第八十六回東京都港区少年少女剣道大会 優勝
- 第八十七回東京都港区少年少女剣道大会 優勝
- 平成27年度東京都高等学校秋季剣道大会 敢闘賞
大学院最初の1年で成長できたこと, 2025.05.01掲載
清水研究室に所属してからのこの1年間、私は『合理的な薬剤設計のための薬物動態を考慮したADMET予測AIの開発』と『神経疾患の治療標的探索のためのシングルセルデータ解析手法の確立』という、挑戦的な2つの研究テーマに取り組む機会をいただきました。
研究を進める上で特に大きな学びとなったのは、研究内容を効果的に伝えるための資料作成能力の向上です。研究計画書や定期的な進捗報告の作成において、スタッフの先生方や先輩方から、論理的な文章構成、データの意図が明確に伝わる図表の作り方、そして聞き手を意識した表現方法に至るまで、具体的かつ丁寧なフィードバックを数多くいただきました。これらの指導を通じて、単に情報を羅列するのではなく、「相手に伝わる」資料を作成するための基礎を叩き込んでいただけたと実感しています。
また、研究活動は一人で完結するものではなく、周囲との連携がいかに重要かも学びました。行き詰まった際には、スタッフの先生方はもちろん、先輩や同期からも研究の進め方や問題解決の糸口について多くの助言や議論の機会を得ることができました。このような日常的なサポートがあったからこそ、研究を開始してから1年も経たないのにも関わらず、分子生物学会年会や学術変革領域主催のリトリートといった対外的な場で、自身の研究成果を発表するという貴重な経験に繋がったのだと感じています。
さらに、CBI学会年会をはじめとする学会やシンポジウムへの参加・聴講を通じて、自身の研究分野だけでなく、関連分野の最新動向や多様なアプローチに触れることができ、視野を広げるとともに研究への新たな視点を得ることができました。
私は学部、修士、そして現在の博士課程と、それぞれ異なる研究室に所属してきましたが、その経験から比較しても、清水研究室は特に教育的なサポート体制が充実していると感じています。個々の研究テーマへの深い指導に加え、研究者として必須となるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を実践的に学べる機会が豊富に用意されており、この1年間で研究者としての基礎体力が大きく向上したと確信しています。
大学院最初の3ヶ月で成長できたこと, 2024.07.31掲載
AIシステム医科学分野に所属し、最初の3ヶ月が経過した。学部、修士課程、博士課程でそれぞれ異なる研究室に所属した経験を踏まえて、この研究室だからこそ成長できたことを述べたい。
この研究室の素晴らしい特徴は、ジャーナルクラブ (JC) と勉強会である。
JCでは、直近3カ月以内に発表された原著論文を扱う。ただし、あえて、自分の研究テーマに直結しない論文を選ぶ。これは「専門に特化することはいつでもできるが、専門特化でずっとやってきた人が他分野を勉強するのは大変」という考えに基づいている。この方針により、幅広い領域を学ぶ機会が得られ、視野が大きく広がった。さらに特筆すべきは、生命科学と情報科学の融合領域の論文が多く題材となることだ。専門外の論文を読む抵抗感が薄れ、むしろ積極的に取り組むようになった。現代の科学研究において、異分野の知識を統合することの重要性を実感できたのは大きな収穫だった。JCの運営方式も、以前所属していた研究室とは異なっている。従来は担当者が全て説明する形式だったが、本研究室では担当者が背景と方法を解説し、図の解説を学生が担当する。この方式により、ただ受動的にJCに参加するのではなく、論文の細部まで理解する必要が生じ、主体的に読む必要があるため、より深く理解することができた。
勉強会はJCに加えて、週2~3回のペースで実施される。ここでも特定の一分野を深く学ぶのではなく、生命科学や数学、実験手法などの広い範囲を学ぶ。以前所属していた研究室では月に1~2回程度先生が解説する一方的な形式だった。一方で、本研究室では週に2~3回という高頻度で実施される。また、指定された資料を基に学生が主体的に解説する形式を採用している。これにより、単に聴講するだけでなく、自ら学習内容を咀嚼し、他者に分かりやすく説明する能力が養われた。
振り返ってみると、今まで所属した研究室の中では一番教育システムが充実していると感じる。確かに要求されるレベルは高いが、それに応えるだけの支援体制が整っている。この密度の濃さと、幅広い学びの機会は、他の研究室ではなかなか得られないものだろう。
本研究室を志望する人にとって、この体験記が少しでも参考になれば幸いである。