これからの時代を生き抜く「レアカード」思想

私の両親の時代は高度経済成長の真っ只中でしたが、みなさんの時代はいろいろな意味で「二極化」が進むでしょう。そこで私は「レアカード」戦略をオススメします。

子供の頃、ポケモンカード (他のカードゲームでもOKです)というのがありましたね。希少価値の高いレアカードは魅力的でした。自分自身をレアカードにするという感覚をもてるかどうか。これからの時代、これがものすごく大事になってくるでしょう。

魅力的なレアカードは高値で取引されているように、「レアカード」人材は多方面から引く手あまたです。そこで少し時給について考えてみましょう。

私はかつてとある飲食店でアルバイトをしたことがありますが、その「時給」は700円ほど、夜だったら1000円くらいでした。IT系の会社でプログラムのアルバイトをした時に提示されたのは時給2000円ほどでした。正社員として努めている人の給料から労働時間を割ると、多くの人は3000~5000円くらいです。医師や弁護士の専門職だと1万円になるくらいですが、凄腕経営コンサルだと時給10万円にもなるという話を聞いたことがあります。このように、日本人の時給は700円から10万円くらいの幅があります。なぜ150倍もの差が生まれるのか。150倍の差にはワケがあるわけです。物理的な「大変さ」といったものでないことは明らかですね。私が経験したものの中で体力的にどれが一番「大変」だったかと問われたら、間違いなく時給700円の飲食店です。1日10時間近く立って仕事をしていましたから (他の仕事は基本的に座ることができます)。ここを決めるのが結局のところ「レアカードかどうか」なわけです。

時給 (や待遇) というのは需給の相場で決まっています。どのくらい希少性があるのか。医者や弁護士の時給が高いのは非常に高度な専門性を何十年もかけて身につけるからです。一方で私がやっていた飲食店のバイトは10年の下積みをせずともいきなり今日から採用してもらえます。その意味では「誰でもできる」仕事なのです (もちろんその道のプロになるには修練が必要でしょう)。レアさをどのように演出していけばいいのか。こういったことについて学校では教えませんし親も教えません。実は弁護士も医者も数が増えてきて、「レア」ではなくなりつつあります。今後どんなキャリアが「レア」な存在になるのでしょうか?

 

自分の戦略を考える際に大事なポイントが2つあります。1つめは、当サイトのあちこちで書いていますが逆張り。みんなが行く方向ではなく、逆の方向に進むということですね。リスクはあるかもしれませんが、逆張りをしていかなければ大きなリターンは得られないでしょうね。一昔前は経済成長時代でしたので大きなリターンなんか不要でした。でも今は経済は停滞し、長期的には人口減により国内の経済力は落ちていきます。大きなリターンを望まなければそれはだんだんジリ貧になっていくことを意味します。給料は上がらない、でも物価は上がってくる。あれやこれやの増税の嵐で、しかも日本の借金は増え続けるばかり。海外でずっと暮らすつもりなら別ですが、日本で働くつもりなら親の世代の「安定」の道はみなさんにとって「衰退」の道です。人と同じ、というのはみなさんにとっては危険信号です。

レアな存在になるためのもう1つのポイントが「スキルの掛け算」思考です。「レアな存在になれ」と言われても、10万人に1人、1万人に1人の存在になることって難しいですよね。1万人に1人の存在になることは難しいことですが、100人に1人だったらかなりの確率でなれると思います。このページを読んでいるというだけでもかなり高い志の方とお見受けしますのでひょっとしたらもう100人に1人になっているかもしれません。でもここで終わってしまうと、1万人に1人というレアな存在にはなれません。そこでもうひとつの100人に1人になることが大切になってくるわけです。考え方としては「100人に1人×100人に1人=1万人に1人」ということですね。ひとつの領域で1万人に1人の存在になることは、ものすごく難しい。ところがふたつの領域を混ぜて、「100人に1人×100人に1人=1万人に1人」になることはそれほど難しくはありません。掛け算をすることで1万人に1人の存在を目指すのです。この水準なら十分に「レアカード」といえるでしょう。

清水研の大学院生の間に、これまで勉強してきた領域で100人に1人の存在になるだけではなく、新たにもうひとつの領域でも100人に1人の存在になってほしいと願っています。ただし、他人がつくった土俵で戦うのは難しいです。自分の得意分野を混ぜて自分だけの土俵をつくることがポイントですね。だからこそ当研究室では多彩なバックグランドの方を受け入れていますし、各自の戦略に基づいたマイプロジェクトを奨励しています。