Cold Spring Harbor Laboratory, Biological Data Science meeting 2024 参加報告

Cold Spring Harbor Laboratory (CSHL) で開催の国際学会Biological Data Scienceに参加してきた。CSHLはNew York中心部から電車で1時間ほどの郊外にある研究所であり、生物学を中心に様々な分野の学会が年中開催されている。演題数が口頭とポスター合わせて約230演題、参加者数が約300名で、参加者の所属は見たところ80%がアメリカ・カナダ、15%がヨーロッパだった。参加者が宿泊するための施設もCSHL敷地内に用意されている。朝昼晩3食とも食堂で食べることになるが、たまたま (時には狙って) 近くに座った人と自然と会話が始まり、そのまま1時間ほど話し続けるというのがお決まりである。この仕組みのおかげで修士・博士の学生、ポスドク、PIに加えて大規模データベースのキュレーター、大学で研究する高校生など様々な人と知り合うことができた。

学会プログラムはKeynote、オーラルセッション、ポスターセッションで構成されていた。オーラルセッションは6セッションで構成され、Session 1はTools, Infrastructure and Visualization、Session 2はPopulation Genetics and Personalized Medicine、Session 3はAlgorithmics、Session 4はMachine Learning、Session 5はSpatial and Imaging、Session 6はSingle Cell and Functional Genomicsについてのセッションとなっていた。また、各セッションは2名ずつの招待講演と4-6名の一般演題から選抜されたTalkで構成されていた。内容はさすが選抜された演題といった感じで、医学・生物学におけるデータ科学的研究の現状と目指す方向性を再認識する良い機会となった。またどの発表にも内容を幅広い聴衆に伝える工夫があり、今後口頭発表をするときに必要な聴衆を飽きさせないスライドの作り方や話し方を考えるうえで学びが多かった。

今回私は薬剤耐性遺伝子の伝播を追う手法開発の研究のポスター発表をした。今まで参加してきた学会は基本的に生物学的なカテゴリーで集う学会であったためついつい生物学的な質問を想定して準備していた。しかし、聴衆の大半が生物学だけでなく情報・解析技術にも強いため、むしろ手法の妥当性やその選択理由を問うような質問が非常に多かった。全く異なる研究内容の人ともデータ解析という共通項でかなり細かいところまでディスカッションできることを実感する非常に良い機会となった。

ポスター発表全体で見ると学生およびポスドクが大半で、GitHubやRパッケージ、PreprintなどのQRコードを掲げる手法開発系のポスターが多かった。中には数ヶ月前PhDコースを始めたばかりと言いつつある程度まとまった発表をしている学生もおり、何よりそのぐらいの研究スピードが当然と話していた。改めて情報系の研究をするうえで研究スピードの重要さを感じさせられた。

今回の国際学会参加をご支援いただいた中谷生体空間オミクス医療解析拠点へ改めて感謝申し上げます。

助教・麻生 啓文