このページにはBiomedical Data Science Club(BDSC) の卒業生の方々からいただいた、未来の後輩、つまり勉強会に参加しようか検討中の学生さんに向けたメッセージを原文のまま掲載しています (各自のご意向によってプロフィールを公開されている方も非公開の方もいらっしゃいます)。

卒業生からの未来の後輩に向けたエール

2022年度卒業生

Biomedical Data Science Club (BDSC) の立ち上げからオンライン研究チャレンジに並行して1年間参加させていただきました。このページを見ている皆さんは何かしらの形で生命医科学とデータサイエンスの融合に興味があると思います。深層学習も機械学習も一定のレベルまではカリキュラム通り (E資格や統計検定など) にやれば学ぶことができますが、実社会の課題にどう応用していくのか?を学ぶのは一人では非常に困難です。論文では課題の設定の仕方、解き方、次に解くべき課題が明示されています。BDSCのメンバーがそれぞれの背景や興味に基づいて調べた応用例とそれぞれの知識を定期的に共有してもらうことで、自分一人では辿り着けなかった分野や知識を得ることができます。"You see what you know"という言葉がありますが、人間は自分の認知限界の範囲でしか知識を深めることはできません。異なる人と出会い、触発されることで自分の知識や発想の殻を破ることができます。かくいう私も勉強会のたびに基礎医学の手法を学び直すことで大学病院の先生とディスカッションを深める機会が増えました。自分の興味の外だった最適輸送やGAN (Generative Adversarial Network) についての知識も深まりました。単に論文を読んで何となく「凄いね」と言い合うことが目的ではなく、互いの興味に感化され触発し合う環境です。

医学の面でもデータサイエンスの面でも高度な内容を扱うので理解に苦しむこともあると思います、データサイエンスの知識が不安な人は清水先生が開講してくださる入門編の勉強会から始めても良いと思います。しかし、ある程度の知識があればこの環境に飛び込む方が早いです。今はインターネットで調べればいくらでもわかりやすい記事が出てくるので、とにかくひたすら調べる力と、恥ずかしがらずに質問するメンタルを養うことの方が遥かに重要だと思っています。筋トレと同じで負荷をかけないと伸びませんし、こういったところで何となく聞いた言葉に後で遭遇した時に加速度的に理解が深まることも多いです。

最後にこの勉強会の最大の特徴は清水教授がいることです。学生だけでも勉強会はできますが、基礎医学/臨床医学/データサイエンスに精通したsupervisorが最先端の話や歴史を踏まえてコメントをしてくれるのは何よりものBDSCの財産です。発表者としても学ぶことが多いというのは何よりも刺激的でした。
是非恐れずに、我々の仲間になってください!みなさんの興味や疑問が周りの糧になるのがBDSCです。

保住 英希さん
慶應義塾大学医学部医学科 卒
BDSC在籍期間: 2022.4~2023.3

BDSCでは生命科学や医学に情報学を適応した論文を勉強することができる。毎回違うメンバーが発表を担当するため、幅広い分野の研究を知ることができるのと共に、他のメンバーとのディスカッションを通して、知らない分野への理解も深めることができる。何よりも、同じ興味関心を持った学生や自分よりも深い知識を持った学生が、他大学にいることに刺激を受けることがこの会の一番の醍醐味である。医学・生物系の学生で情報学について勉強したい学生、情報学に詳しく医学・生物系への応用について知りたい学生、そのどちらであっても、この会を通じて仲間と新しい知識を得ることができるだろう。

水越 周良さん
名古屋大学医学部医学科 卒
BDSC在籍期間: 2022.4~2023.3

BDSCに限らず、勉強会で一番の成果を挙げるコツは、自分で発表することです。自分で発表しなければ、論文のメソッドを事細かに読んだり数式の意味合いを考えたりと言ったことに時間を使う人は少ないと思います。
BDSCの勉強会は、皆数式の意味合いを解説して下さり、数学が得意だったはずだが忘れてしまっている、理系の人間がリハビリするのに役立ちました。また研修医になってもこっそり参加したいです。

澤田 高志さん
九州大学医学部医学科 卒
BDSC在籍期間: 2022.4~2023.3

医学に情報学の知見を応用したい(あるいはその逆)と考える人は近年増えていますが、実際に現場でどのような研究が行われているかを知る機会は少ないと思います。BDSCは、医学とデータサイエンスの融合分野に興味がある全国の学生が集まって、隔週で最新の論文を読んで議論する会です。
BDSCでは、ゲノムなどの基礎研究から臨床データを扱った疫学まで、さまざまな論文が俎上に上がります。論文解説の後の質疑応答では、実際に研究をしている学生も多いため非常にリアルな議論が交わされ、聞いているだけでもとても勉強になりました。逆に自分が発表する際には、論文のfigureを一つずつ細かく吟味し、使われているソフトウェア一つ一つまで遡って嚙み砕いて説明するという得がたい体験ができました。また、清水先生が毎日のようにグループに流してくださる、最新の論文リストも非常にためになり、全てをPDFで保存するにはクラウドが全く足りないという嬉しい悲鳴が上がるほどの情報量を共有していただきました。
ぜひ、BDSCで皆さんも医学×データサイエンスの最前線に触れてみてください。特に関西勢が少ないので、関西の皆さん、首を長くしてお待ちしております(笑)。

山崎 隆一郎さん
大阪大学医学部医学科 卒
BDSC在籍期間: 2022.8~2023.3

私の発表は決してレベルの高いものではありませんでしたが、清水先生は知識量や理解度の有無を指摘するのではなく論点に焦点当てたアドバイスをしていただいたことが印象的でした。
この会にはすでに論文を発表されている方や有名コンペで入賞されている方も多くいらっしゃいます。間違いなく日本随一の知的探究への貪欲さと行動力をもつ学生の集まりといえます。そんな方達の集まりと聞くと畏縮してしまうかもしれませんが、こんな機会に巡り合えることは滅多にないのではないでしょうか。私自身、普通に暮らしていたら関わらないような、ハイレベルな同世代の持つコンピテンシーを自分の目で感じ取ることができたと感じます。
クリエイティブな環境に身を置きたいとの思いから、卒後はデジタルエージェンシーのスタートアップへ就職します。この会で学んだ、高度な付加価値とともにAI・データサイエンスを実用化するための手法への理解は、どのような進路をとっても有益であるとひしひしと感じています。この機会にとどまらず今後もさらに研鑽を積み続けたいと思います。