この博士課程の科目では、バイオメディカル領域の研究論文にデータサイエンスがどのように使われているのかを、論文を一種のケーススタディーとして学びます。博士課程に入ってご自身のプロジェクトにデータサイエンスを持ち込むためには、どうしても先行研究を調べて理解し討論することが不可欠です。この特論では、1年生のうちにそのような力を身につけることで、学位論文化を目指す上での最初の土台を築きます。

このような理由から、一種の講義のようにデータサイエンスを網羅的に学ぶコースではありません。網羅的に学びたい方は、入門書としては分析モデル入門ディープラーニングを支える技術、初級者向けの本としては深層学習改訂第2版などの成書をお読みください。

※ ご希望があれば、5~6月にかけて「分析モデル入門」という本を輪読する学部生向けの事前勉強会に参加しベーシックな機械学習や統計科学の勉強をしていただけます (日程のご都合を合わせていただく必要がありますが)

特論においては、年間に2回、ご自身が論文を選び、資料を使ってご説明していただきます。参考までに以前の学生さんが作成した資料を2つ提示します (基礎系の研究臨床系の研究)。成績評価は、ご自身が担当するときはもちろん、それ以外の方が発表する際にどれだけ主体的に討論に参加したか、で行います。

また、本コースはあくまで最初のきっかけづくりの機会であり、月に1, 2回の開催です。よりたくさんのことを学びたいという意見もいただきましたが、そのような意欲的な方には副指導、そしてさらにずっと踏み込んだダブルメンター制度での教育を提供しています。「AIシステム医科学特論」で物足りない方は、これらの制度もご活用ください。

AIシステム医科学特論の受講生の声

東京医科歯科大学の博士課程の選択科目「AIシステム医科学特論」について受講生の声を原文のまま掲載します。この科目を選択しようか考えている方の参考になれば幸いです。

2022年度

講義参加前は、臨床のバックグラウンドと少しの Wet/Dry の知識がある状態でした。データ集計のために Rの定型解析と 最低限の Linux インターフェース は使ったことがあるけれど、もし論文中に数式があってもまず目を通すことをしない、そんな感じです。今回の講義での文献紹介を通して、論文の中の数式をとりあえず見てみるようになったのが、一番の大きな変化と感じています。短期留学で英語の知識はあまり変わらないけど英語を使おうとする姿勢が身につく、みたいな変化と似ているかもしれません。

(私のような)ほぼ初学の方にとっては、自分の知識と論文のレベルのギャップを見定めることができず、論文紹介で苦労することもあると思います。ただ、清水先生自身が幅広い経験をお持ちで、いろんな論文に対応してくださるので、その点大変心強いです。

抄読会における2回の論文発表とシラバスで提示されていた教科書「ディープラーニングを支える技術」を勉強することによって、機械学習に用いられている技術についての理解が深まりました。抄読会では、最終的に清水先生も論文で用いられているディープラーニングの技術について、分かりやすく解説してくださるので、初学者でも十分、参加可能だと思います。

これまで「データサイエンス」という言葉は聞いたことがあるもののその実際の中身を知らなかったため本講義を受講した。医療の研究の場においても画像処理などを用いた論文は多数投稿されており、今後の医療現場においては必ず必要な知識になるものと思われる。2週に1度担当者が自身の領域あるいは興味のある題材を取り上げその論文の内容及び前提知識を解説し清水先生よりコメントをいただくというスタイルの授業であった。学生の多くが初学者であるため、内容としては基礎的なことが多く含まれ非常にわかりやすい講義スタイルであった。眼科領域は画像診断によるところが大きく、これまでにも数多くの論文が投稿されている。しかし、データサイエンスの専門家の視点にたつと、一昔前のプログラムを使用した論文が多いなど、知識レベルの解離がみられることがわかった。本講義はデータサイエンスの詳細を学ぶというものではないが、初学者にとっては大きく全体概要を把握することができるため大変有意義なものであった。今回の講義の受講で得られた知識を基盤としてデータサイエンス領域の知識を深め、自身の領域と合わせた研究もいずれできるようになりたいと考えている。

進歩したところについて、4月と比べたら、今世の中にはAI技術により、各領域にどんな研究が進んでいることをわかりました。イメージになった知識は決定木と畳み込みなどの概念です。理解がまだ浅いですが、これから勉強した知識を利用し、自分のハプロタイプのジェノタイピングに使えばと思います。このコースは、初心者でも外国人でも、気楽に参加できるコースだと思います。各分野の先生たちが集まって議論し、「AIはそんなこともできるなー」の感想があり、自分の研究しているテーマにどう使えるかのことを、もう一度検討が可能だと思います。