乳がんは女性で最も多いがんですが、その進行具合はさまざまです。個別化医療の実現のためには、より精密な予後の層別化が不可欠です。

そこで私たちは、38コホートおよそ1万人近い乳がん臨床データと遺伝子発現パターンを臨床統計学と人工知能を使って解析 (図左) し、23遺伝子の発現量からなる乳がんの分子予後スコア (molecular Prognostic Score, mPS) を開発しました。

このmPSは0から50までの範囲を取り、50に近づくほど予後がどんどん悪くなります。これまでも同様のコンセプトでMammaPrintやOncotypeと呼ばれる分子診断法はありましたがエストロゲン受容体陽性の乳がんでないと使えないなど制約の大きいものでした。一方でmPSはほとんど全てのサブタイプに適用可能でした。

さらに興味深いごとに、mPSは同じTNMステージにも有効であり、例えばステージ2の患者さんであってもmPS次第で大きく予後が違うことが分かりました (図右)。

マクロな視点に基づくステージ分類とミクロな視点に基づくmPSを組み合わせることでより精密な層別化ができ、ひいては将来的な個別化医療にもつながりうる研究です。

なお、本研究はNHKニュース日経新聞等でも大々的に報道されています。

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